2007年3月18日日曜日

甲状腺機能亢進症は高齢のネコさんに多い病気です。発見しにくく、認知度が低いゆえに誤診が多いようです。行動が活発になる、あるいは甘えるようになる、食欲が増える、というところから始まりますが、飼い主にとってはいいことなので、殆ど気付かれないまま症状は進みます。

下痢、多飲多尿、呼吸が荒い、脱毛、食べても痩せてくる、といった症状が身体的な症状ですが、進行具合で症状は違います
私の猫の毛はふっさふっさです。しかもコデブ。必ず脱毛するわけでもないし、必ず下痢をするわけでもありません。また、進行すればするほど、全身にダメージを与えるのだ、ということを心して、ちょっとでも疑いがあったら血液検査をしましょう。すぐに分かります。

早期発見ができないと心臓や腎臓、肝臓などに悪影響を及ぼします。
獣医さんや飼い主に知識がない場合、それぞれ個別の症状に囚われて根本的な治療が遅れます

具体的な血液検査と料金
T3とT4を検査するのですが、通常、動物病院にはこの検査機械がおいてないところが多いです。大学病院などの検査機関に外注として出すとして、結果が分かるまで一週間ほどかかるようです。検査料金はどんなに高くても1万円前後。これより高かったらぼったくり。他に問い合わせてください。
大学病院などでは、その日に結果を聞くことが出来ます。この機械が遅くって、えー、一回測定するのに40分もかかります。それでも一週間よりはずっといいですし、血液検査だけをいえば、普通の病院より安いくらいです。
40分も待てないって人は、猫さんだけお家に帰して、結果だけ聞くと言う手もありますよ。


もっと詳しく数値が知りたい人はこちらをどうぞ。

Dr. 小宮山の伴侶動物へのやさしい(優しい)獣医学
より抜粋しました。 .
臨床症状は?  
1) 食欲亢進(時々低下)  
2) 体重減少  
3) 活動性亢進、落ち着きがない
4) 下痢と嘔吐  
5) 喘ぎ/呼吸速拍・神経過敏  
6) 多飲多尿・大量の糞便  
7) 呼吸困難、息苦しい  
8) 脱毛・衰弱 
9)ストレス不耐性

他の病気と似ている! 肝疾患に間違いやすい! 腎疾患に間違いやすい! 胃腸系疾患に間違いやすい! 心疾患に間違いやすい!

臨床症状は?
胃腸疾患⇒1) 食欲亢進67%
腎疾患⇒2) 体重減少98%
胃腸・肝疾患⇒3) 嘔吐
胃腸・肝疾患⇒4) 下痢45%
心疾患⇒5) 活動性亢進34%
腎・肝疾患⇒6) 多飲多尿45%
心疾患⇒7) 喘ぎ/呼吸速拍
肝疾患⇒8) 脱毛52%

身体検査は?
削痩97%
甲状腺触知95%
活動性亢進81%
頻脈(240)57%
脱水/悪液質66%

甲状腺が腫れるー首の触知でわかることがある  喉頭部のすぐ下の気管の両側  エンドウ豆からインゲン豆  大きくなると下へ移動する
甲状腺の腫大は両側性が多い  腺腫様の過形成  2/3が両側性  1/3が片側性


必要な検査は?

血液検査(血清T4値のみでも91%診断は可能)にて

他の病気の合併症を調べる 
X線検査(胸水の有無、心臓の大きさ等) 
心電図検査(心拍の亢進、不整脈の判定) 
血圧の測定(甲状腺機能亢進症の80%は高血圧) 
心臓の超音波検査(左心室肥大の程度を中心に検査)

血液検査は?SAP 91%↑
ALT 75%↑
AST 63%↑
BUN 42%↑
PO4 50%↑


甲状腺機能亢進症の結果

エネルギー消費の増加
カロリー利用能の低下
酸素消費能の低下


診断法は?

血清T4値を測定する
血清遊離T4値を測定する
血清T4値のみで91%診断できる

猫甲状腺機能亢進症の91%で高値である  
9%のみでT4が正常である その理由は?  
T3とT4の値が変動する  
他の病気があるとT4値は低くなる  
正常値の低い猫は高くなってもまだ正常
血清T3値は66.5%が高くなり役立たない

猫の安静時のT4の正常値
正常値
0.5-2.0mg/dl
異常値
5.0mg/dl以上
限界値
2.0-5.0mg/dl

血清遊離T4値を測定する(平衡透析法が信頼できる)  
猫の甲状腺機能亢進症の98.5%で高値である  
1.5%のみで遊離T4が正常である  
特にオカルト甲状腺機能亢進症の場合、すなわち安静時のT4の値が2.5-5.0mg/dlの場合、血清遊離T4値を測定すると良い